ドイツ・12.8cm野砲K44[クルップ]
制作・写真・文章 根生
ソ連に侵攻したドイツ軍はそこで122mm砲という見慣れないサイズの大砲に出会います。ドイツ陸軍が使っていた大砲のサイズは8.8cmの上が10.5cm、その上が15cmという口径だったのですが、その中間のサイズの有用性に着目したドイツ陸軍は、海軍砲や対空砲で使われてた12.8cmの生産設備を使って新しいサイズの野砲や対戦車砲を開発することを決定します。そして8.8cmPak43で成功した背の低いレイアウトを持った野砲/対戦車砲をクルップ社とラインメタル社の両方に設計させ競作としました。今回制作するのはクルップ社の設計によるものです。
巨大な砲と砲架を支える車輪はリンバーとして取り外しできるようにするのが今までのパターンだったのですが、このK44[クルップ]では上に車輪を持ち上げることで地面に固定できるように工夫されました。巨大な砲の積み降ろしを人力だけでしなければいけない従来の砲のことを思うとなかなか気の利いたデザインですよね。砲の口径は12.8cm、口径長は55口径で約7mにもなります。
キットはトランペッターの1/35で、定価が2500円程度と比較的安価なわりに内容は充実しており金属パーツもふんだんに入っています。平衡器のピストンとシリンダーも金属製ですし、迫力満点の砲身もアルミ製です。さらに穴がたくさん空いたタイプのマズルブレーキもエッチングパーツ製とプラ製の選択式となっており、エッチングパーツを組む自信の無いモデラーはプラ製も選択できます。(写真左)
パーツ数は決して多くは無いのですが、細かなパーツもしっかりと再現されており、さらに破損を防ぐためにランナーにクッションが巻かれているのは好感が持てます。組むのが楽しみになってきますね。(写真右)
組み立て
砲架を組み立てます。本来なら十字砲架の組み立てはわりとあっさりとした物になるのでしょうが、K44の場合は上下可動式の車輪が組み込まれますからなかなか大変です。非常に多くのパーツがここに使われており、ここを作るのに一番手間取ります。ちょうどリンバーの組み立てが大変なのと同じですよね。
車輪が付く部分はちゃんと実物同様に上下するギミックが付いており、組み立てた後もちゃんと上下させられます。十字砲架の横の脚も折りたためますから、運搬状態と戦闘状態の両方の形態をほぼ切り替えることができます。ほぼと書いたのは、砲架の中央部分に付く4つの板がどちらかの状態を選択して接着するようになっているからでして、ここを加工するかピットマルチ留めにすれば完璧ですよね。わたしは戦闘状態で貼り付けちゃいましたけど・・・