i-modellers コマンドゲラート Nod40 DESKit 1/35

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Kommandogerat(コマンドゲラート) Nod40 DESKit 1/35

制作・写真・文章 燻(いぶり)

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私が現在メインで作っているのが1/35スケールのAFVモノです。もちろん戦車も装甲車も好きですが…やはり、どうしても妙なモノに目が行ってしまいます。
記念すべき創刊第1回目。何を作ろうかと迷っていましたが・・・以前から作りたかった、ある装置を制作することにしました。
その装置とは、第二次世界大戦時のドイツ軍の対空迎撃にて重要な役割を果たした『測距儀・諸元伝達装置40』です。

「何やねんソレ・・・」という方の為に、簡単ながら説明をば。
当時のドイツ軍の対空システムは、下図のようになっていました。
image1.jpeg目視・聴音器・サーチライト等により敵機の襲来を探知した後、レーダーへとその情報を送ります。
レーダーは探知した距離・高度・方位角の詳細な情報を、測距儀と諸元伝達装置に伝達します。そこで各装置により、三次元的な敵機の捕捉情報を処理し、正確な位置が算出されます。その捕捉情報は対空砲の射撃管制盤に送られ、敵機の未来位置へと弾幕攻撃を張る――これを複数箇所で行うことで、より対空迎撃の成功率を高めたとされています。

その一連の対空システムの中でも重要なファクターである『捕捉情報の算出』を担っていたのが、この『測距儀・諸元伝達装置40』なのです。
その超絶マイナー装置をこの世にキットとしてリリースしてくれたのが、おフランスが誇る我らが『DES Kit』!!
このメーカーさんはレーダーや測距儀、果ては視準器やら発電機やら、需要という言葉すら薄らぐようなマイナーなモノを進んでリリースしている、変態・・・ゲフンゲフン。素晴らしいガレージキットメーカーなのです!



image2.jpegimage2.jpeg
こちらが今回制作する『測距儀・諸元伝達装置40』のキットです。
正式名称は『Kommandogerat Nod 40』で、『avec remorque Sd Ahn 52』とはフランス語で『Sd Ahn 52トレーラー付き』という意味です。
(ウムラウト表記ができないので、ホントは『Kommandogeraet』が正しいのだと思いますが…)

世界にはドイツ軍の対空迎撃システムを真剣に研究されている方がおられるようで、この正式名称でインターネット検索をかけると、いくらかの資料がヒットします。
手持ちの資料やネットの資料を見ると、この装置は主に『Kdo.Ger.40』と略されていますが、ビミョーに長いのでキット名称『Nod 40』で、このコーナーでは進めていこうと思います。
『Nod 40』は先述の通り、レーダーからの探知情報を元に敵機のより正確な位置情報を素早く算出するために開発された装置です。このシステムは第二次大戦前から開発されており、大戦当初は『Kdo.Ger.35』という諸元算出装置と、4m測距儀を別々で組み合わせて使用していました。これらは以前、私がジオラマで制作しましたので、興味のある方は下記リンクをご参照下さい。

◆燻ログ ―88mm対空指揮陣地 4m測距儀&諸元算出装置35―

その後、1940年にこれら別々であった測距儀と諸元算出装置をひとつに合体させたものが開発されます。これが『Nod 40』なのです。

資料では、アフリカ戦線らしき戦場でダークイエローに塗られた『Nod 40』がいくつか見られましたが、他の写真はほとんどが濃いグレーのように思われます。これは、一連の迎撃システムが空軍の管理下だったからなのかしら・・・? ここらへんは最後まで分かりませんでした・・・今回は、写真資料で数多く確認された濃いグレーのバージョンで制作したいと思います。

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コマンドゲラート Nod40コマンドゲラート Nod40
こちらがキット内容となります。
DES Kit製品すべてに当てはまることなのですが、袋はその部分ごとに細かく分割されいて好感度UP!
(例えば、足回りパーツで1袋、測距儀パーツで1袋という感じ)
ただ、説明書は実物の歴史が書かれていて、写真や番号振りを丁寧に書き込んではあるんですが、分かりやすいのか分かりにくいのか、よく分かりません・・・
と言うのも、説明書が荒いコピーなので、特に色分けはほとんど解読不能。私の場合は実物の写真や資料があったので何とかなりましたが、ここだけはちょっと苦言を。まぁ・・・昨今進歩目覚しいインジェクションキットの説明書と比べるのは酷ですけどね・・・(どこぞのメーカーなんて間違いだらけだし)
しかし、そこらのガレキメーカーよかずっと親切で分かりやすいのは事実です。
ひょっとするとこのメーカーさんは、お客としてレジンキットを購入して苦しんだ経験があるのではないか?・・・と、何となく説明書の書き方から感じられました。

4m測距儀4m測距儀
まずは4m測距儀から組んでいきます。
ちなみにこの『Nod 40』は測距儀と箱の部分とを分割して運ぶようで、その
運搬時に使う取っ手が銅線の部分です。
キット付属の謎の金属線が異様に硬かったので、手持ちの0.5mm銅線を曲げて制作。ちなみに説明書にはこの形状も曲げ例もちゃんと書かれています。ホント丁寧!

ちなみに緑の矢印の部分ですが、これは測距儀の上側に付いている対空双眼鏡とは名称が異なり、『テクニカルファイアリングクルー用双眼鏡』と言うそうです。何が何やらですが・・・ひょっとすると、対地上戦闘(戦車とかを砲撃する際)用の双眼鏡なのかも。
この双眼鏡の取り付け位置は、説明書ですともっと前に迫り出した感じで接着されています。しかし詳細な写真資料を見ると、実物では大体これくらいの引っ込んだ位置で固定されているようです。
4m測距儀の足場4m測距儀の足場
こちらは足場となります。
流石に細く複雑なパーツですので、多少の歪みがありましたがお湯につけて整形するとあっさり直りました。
そこに付属のエッチングパーツを瞬間接着剤で固定。エッチングパーツが厚みがあって頑丈なので、直しきれなかった僅かな歪みをスルーしてしっかり平らになってくれます。

足場裏側の中央にある梁に、小さな穴が開いています。これは『Nod 40』運搬時にこの足場を折り畳むのですが、その際に固定フックを引っ掛ける穴なのです。ちゃんと運搬時として組む際は、この穴を使用します。芸が細かいぜDES Kit!!


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