i-modellers ヴュルツブルク・レーダー FuMG39D DESKit 1/35

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“Wurzburg(ヴュルツブルク)” Radar FuMG 39D DESKit 1/35

制作・写真・文章 燻(いぶり)

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『i-modellers』も2号を迎えました。
前回となる創刊号では、ドイツ軍による対空システムにおける『演算』の部分を担う重要な装備『コマンドゲラート Nod40』を制作しましたが、今回はその前の段階となる『敵の捕捉』――つまり、レーダーに着目してみたいと思います。

ドイツ軍のレーダーシステムは、大きく2種類に分けられていました。
ひとつ目は『警戒レーダー』で、大雑把ですがロングレンジでの探知に向いており、飛来する敵機を長距離で捕捉できました。北フランスに配置されていた有名なレーダー群『フライア』は、こちらになります。
ふたつ目は『迎撃レーダー』で、こちらは前述した『警戒レーダー』からの情報を元に、より詳細で正確な敵機の位置を知る為のものです。
今回私が制作するレーダーは、比較的有名なこの『迎撃レーダー』に属する『ヴュルツブルク』というレーダーのキットです。


radarsradars

左図にて、各種レーダーによる敵機捕捉の様子を簡単に描いてみました。
左側にある『フライア警戒レーダー』の黄色いレーダービームは、大きな帯で描かれているように広範囲、長距離での探知が可能で、その後右側の『ヴュツルブルク迎撃レーダー』は青いレーダービームにて正確な位置情報を入手。対空中隊にその情報を送信します。














それでは、この『迎撃レーダー』の雄、『ヴュルツブルク』について少し触れておきましょう。
『ヴュルツブルク』は先述した『フライア』レーダーを元に、敵機をより短距離で正確に捕捉でき、中隊規模で運用可能なレベルにまで小型化せよという軍の要求により、テレフンケン社によって1939年夏に開発されました。
A~D型まで細部を改良されながら約4000基が作られ、各対空中隊に配備されたようです。
ちなみにレーダーには街の名前が付けられることが多く、このレーダーの名称はバイエルン州の都市『ヴュルツブルク』を由来としています。


前回に続き、こんなマイナーな兵装をリリースしてくれたのが・・・
そう! 皆さんももうお分かりでしょう・・・『DES Kit』でございます!!





   wuerzbrug-boxwuerzbrug-box

まずはパッケージをば。こちらが『ヴュルツブルク』のキットです。
『Wurzburg』というのは通称で、『FuMG 39D』が正式な名称となります。
しかしながらこの名称は陸軍限定だったようで、空軍では『FuMG 62』と呼ばれていたそうです。
どこまで仲悪いねん・・・と思いますが、我が日本軍もヒトのこと言えませんでしたね・・・
(ちなみに今回もウムラウト表記の関係でこうなっていますが、正確につづりを書くと『Wuerzburg』となりますのでご注意を)



やはり前回同様、世界には私のようなマイナーなものを愛する変態・・・ゲフンゲフン、素晴らしいリエナクターがたくさんおられました。
中にはこのレーダーを完全に復元しようと取り組んでいる方まで・・・いやはや、本当に素晴らしい!
彼らのお陰で良い実物の情報が得られまして、キット制作において大変参考になりました。
箱絵ではダークイエローですが、こちらも『Nod 40』と同じく資料写真では濃いグレーばかりでしたので、そちらで制作したいと思います。

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   fumg39-01fumg39-01

こちらがキット内容となります。箱は小さいんですが、でっかいパラボラアンテナや足場のせいで中身ギッチギチ。取り出す際は気をつけましょう・・・
毎度のことながら、DES Kitは各箇所ごとに子袋にて分割されており、他のガレージキットに比べて分かりやすいです。
そして、取説なんですが・・・











   fumg39-instfumg39-inst
今回の取説、何が何やら分からねぇぇーー!!?
『Nod 40』は部品点数が少なく、パーツも大味なものが多かったので解読できましたが・・・
この取説では正直、組み立てられる自信が無い・・・

ということで、このキットを制作する上でネットの情報の他、大変参考になる資料をいくつか紹介したいと思います。





fumg39-book1fumg39-book1


1冊目は『Schiffer Military History』から出版されている、その名もズバリな『GROUND RADAR SYSTEMS OF THE LUFTWAFFE 1939-1945』
内容は『ヴュルツブルク』から『フライア』に至るまで、ほぼすべてのドイツ軍レーダーを網羅しています。解説も大変丁寧で勉強になりました。
写真はネットで見かけるものが多数含まれているので、レーダーの歴史やスペックを知りたい人向けの資料ですね。















fumg39-book2fumg39-book2


2冊目は海外のシックな模型雑誌『MODEL』のSeason4です。
いやはや・・・本当にこちらの本には助けられました!
何せ、表紙の通り同じキットを制作しておられるので・・・良い作例となりました。
制作記事では、ディティールアップポイントも詳細に記されており、この本無しではおそらくここまで製作することができなかったと思います。
ちなみに本誌にはドイツの蒸気機関車BR52の制作記事も掲載されております。
是非・・・是非皆さんに読んでいただきたぁい!!














それでは、次のページからキットの制作に取り掛かるとしましょう!

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