i-modellers 創刊号 T-34/76 第112工場 AFVクラブ 1/35

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赤の衝撃 T-34/76 第112工場 AFVクラブ 1/35

制作・写真・文章 根生

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T-37/76T-37/76 1941年6月22日、一方的に不可侵条約を破棄してドイツ軍はソ連との国境を越えました。そしてドイツ軍の戦車隊が遭遇したのは、今まで見たこともない大きな転輪と傾斜した装甲、強力な76.2mm砲を備えた、走攻守のバランスが非常に取れた強力な戦車でした。なにしろこの戦いがT-34のデビュー戦ですから、ドイツ軍が見たこともなかったのはしかたがありませんよね。
 ソ連軍はそれまでのBT戦車の長所である優れた走行性を残したまま、強力な火力と装甲を持った戦車を開発していたのです。ドイツ軍の主力戦車である3号戦車よりも速く、強く、頑丈だったのです。
 第二次世界大戦で随一の傑作戦車(と私は思うのですが)のT-34は小さな改良、大きな改造を繰り返しながら終戦までに8万輛近くも作られました。今回はそんなT-34の中でも初期の型となるT-34/76の1941年型、第112工場で作られたモデルをAFVクラブの1/35のキットで再現します。ご覧の通り、エンジンを含む全内装も再現された意欲的なキットで、初回限定のクリアボディが付いてきています。もっともクリアボディの付いていない製品を見たことがありませんけどね。
 T-34は当初ハリコフの第183工場で作られ、その後スターリングラード・トラクター工場(STZと略されます)で作られました。しかしドイツ軍が侵攻してからはニジノ・ノヴゴロドにある第112工場でも生産されるようになりました。ですから、正確にはこの第112工場製のT-34は後に言うT-34ショックを与えたT-34じゃありません。



T-37/76T-37/76 さすがにフルインテリア再現キットです。箱の中はパーツがびっしり、しかも戦車模型としては見慣れないパーツがたくさん入っています。まぁ、インテリアを作る機会はそうありませんからね。下の方から順に戦車が組み上がっていく様はまさに戦車工場の醍醐味です。
 履帯は軟質プラのベルト式が入っていますが、AFVクラブの物は接着が出来ないので、この際なので、マスタークラブのレジン製の可動式履帯セットを購入しました。
 エッチングパーツは排気口のカバ―のメッシュ程度の最小限なのですが、砲身は真鍮製の砲身が付属しています。またコイルスプリングは金属製の物が入っており、ほとんど見えない箇所ではあるのですが、精密感は抜群です。T-37/76T-37/76



 組み立ては足回りからです。これはサスペンションアームとショックアブソーバーのピストンロッドなのですが、ちょっとした加工で可動式にすることができます。長く飛び出るピンの先をヒートペン(昔のタミヤの説明書では釘の頭でしたね)で溶かして留めました。これでコイルスプリングを使って可動式のサスペンションにできるでしょうか。

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T-37/76T-37/76 第2から第4転輪は可動式に組むことができました。もともとそのように組めるようにサスペンションの軸を留めるパーツも入っていたんです。ですが、車内にサスペンションのある第1転輪はその機構が複雑で、パーツも繊細なため、可動式にするのは強度の問題もあり、あきらめました。金属パーツなどで置き換えればいいのでしょうが、さすがにそこまでは。(写真上)
 実はサスペンションアームが必要以上に下がらないようにするストッパーが無いため、ショックアブソーバーのロッドが簡単に抜けてしまいます。すると今度ははめるのがなかなか大変で、そのため実車には存在しないのですが、サスペンションの可動域を制限するパーツをこっそりと付けました。見えない箇所なのですが、裏返すと・・・(写真下)



T-37/76T-37/76 続いてインテリアの組み立てをします。さすがはAFVクラブ、資料本と見比べてもかなり細かなパーツまでちゃんと再現されています。あまり細かくても大変なだけですが、1/35というスケールを考慮して、ほどほどに省略されているのがいいですね。これだけあれば十分精密に見えます。
 ただ配線類は一部壁にモールドされている以外はほとんど省略されているので、ソフトワイヤーで追加しておきました。この写真は無線機のあたりなのですが、結線は資料を参考に目立つところだけつなぎました。本当はこの10倍くらいの線があるんですよ。


T-37/76T-37/76 運転席と無線手席の周囲です。ソフトワイヤーで追加した配線以外はキットのままです。なかなかいいでしょ。ほとんど見えなくなるにもかかわらず、ペダルや操縦レバーから伸びているロッドも再現されています。T-34は起動輪が後ろにあるため、エンジン→トランスミッション→起動輪という流れが短くて合理的なのですが、操縦系の装置は長いロッドで行うためになかなかの重労働だったそうです。油が切れて堅くなったりするとハンマーでたたいたりもしたそうですよ。
 座席の後ろの黒い箱は砲弾ケースです。作り付けの砲弾入れがあったわけではなく、76.2mm砲弾の箱をそのまま並べただけのようで、実車の写真を見ると、かなりぐちゃぐちゃに並んでたりします。作っちゃってから思ったのですが、各箱をのこぎりで切り離して、ぐちゃぐちゃに並べ直してもリアルだったでしょうね。

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