i-modellers 2号 タイガー1中期型 タミヤ 1/35

もう一人のタイガーエース
  タイガー1中期型 オットーカリウス搭乗車 タミヤ 1/35

ローラーを使ったパターン付けのコツは、同じところを何度か往復して溝を深く刻み込むことです。車体編でも書いたように、はじめは2歩進んで1歩下がるように小刻みにローラーを動かします。力加減は、始めは弱くし、跡が付いたところで徐々に強く転がします。「はじめチョロチョロ、なかパッパ」です。
パテの厚みが適切であれば、パターンの谷の部分からプラの下地が透けて見えます(ローラーの歯の山がパテをほぼ突き破っている状態)。もしもパテが厚かったときは、ローラーでちょっと力を入れて押し伸ばします。パテが延びて外へハミ出しますが、後からトリミングするので気にする必要はありません。
それでもまだ厚いと感じた時は、パターンは消えますが指などで押し伸ばしたりカッターで表面を削ったりして、再度パターンを付け直しましょう。失敗してしまった場合も同様です。パテの硬化までには充分時間がありますので、あわてなくても大丈夫です。

となりの列に移る際は、「ポリパテ+ブレード掻き取り法」では列の間に筋を作りますが、エポパテ法では隙間を作らずピッタリと真横に並べて付けていきます。むしろ、端が少し重なってもよいくらいです。

そして、作業中に最も注意するのは、パテがローラーにくっついてこないかどうかです。そのためにも、ローラーは小刻みに動かします。
くっつき防止として映像内では「打ち粉」をしていますが、ミリプットの場合はエナメルシンナーを塗るのが最も効果的です(撮影時は用意するのをうっかり忘れてました)。ただ、カステンのローラーは材質がABS樹脂ですので、エナメルシンナーが浸透して割れたりしないかだけが心配です。もっとも、この作業では思いのほかローラーに力をかけますので、山の先端がつぶれてきます。したがって、ローラー工具はある程度消耗品と考えたほうがよいでしょう。
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防盾は、左右に分けてパテを貼り、まとめてパターンを付けましょう(Figure.94)。
上下の面とスリーブ取り付け部にはコーティングしません(Figure.95参照)。また、車体と同ピッチの、目の細かいコーティングになります。

さて、ミリプットとタミヤの質感の違いがお分かりいただけるでしょうか(Figure.95)。どちらも同じローラーで付けたパターンです。
彫りが浅くプラスチックのモールドのように整然として硬い印象のタミヤに対し、ミリプットは山と谷のメリハリがありつつも適度な「崩れ感」があります。明らかにミリプットのほうが実物に近い感じがします。

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photo_114.jpgphoto_114.jpg(余談ですが、キングタイガーの場合は山がだらしなく垂れ下がったようなものも見受けられます。これはローラーをかけた直後、パテが柔らかいうちに指で上から下へ軽くスーッとなでるとそれらしく再現できます。ミリプットならではのワザですよ。)
作業をしていても、タミヤは手応えがありますが、ミリプットは頼りないほど柔らかく、弾力がありません。そのため作業はラクですが、作業後のパテをうっかり触っていても気づきにくいので、持つ際にはより注意が必要です。

さあ、これでコーティング作業はすべて終了です(Figure.96)。このキット制作の最大の山を越えたと言えるでしょう。

次は、もう一つの山である連結式キャタピラの組み立てです。それさえ越えればもう組み立ては終わったも同然ですよ。


≪STEP.6~キャタピラの組み立て≫

最後の難関ともいえる、連結式キャタピラの組み立てです。これもツィンメリットコーティング同様、一体どうやればいいのかイメージが湧かず、そのせいで尻込みされているモデラーさんもいらっしゃるのではないでしょうか。
タミヤのキットではこのような1コマずつバラバラになったキャタピラは珍しいのですが、ドラゴンなど輸入プラモでは多く見られます。また、中にはベルト式も同梱されていて好きなほうを選択できる親切なキットもありますが、やはりリアルさでは連結式に軍配が上がります。ただ、一度やり方を覚えてしまえばそれほど難しいこともなく、逆にベルト式をリアルに仕上げるほうがはるかに難しく手間もかかることに気付かれるだろうと思います。

ベルト式がリアルに見えない理由は二つあります。ひとつは自然な垂れ下りが再現しにくいこと。もうひとつはキャタピラのコマ自体が曲がって見えることです。最近のベルトキャタピラは、メーカーの努力によってリンク部でカクッと曲がりやすいように成形されていますが、やはりコマ自体もいくらか曲がってしまいます。本来硬い鉄のカタマリであるコマが曲がるはずはありませんので、そこが何よりウソっぽく、不自然さを感じさせてしまうんですね。

雑誌の作例では、フリウルやモデルカステンに代表される可動式の連結キャタピラが多用されます。実物同様に動くわけですからまさにリアルそのものですが、リアルに見えるのはあくまでキャタピラのおかげであって、モデラーの手柄ではまったくありません。
しかし、接着式の連結キャタピラを可動式であるかのように仕上げられたら、それはもうモデラーの努力の賜物です。組み立て式キャタピラは、そんな満足感・達成感・征服感を味わえる、スバラシイ部品なのです。最近は、コストの問題からかドラゴンも組み立て式からベルト式に変えてきており、個人的には大変残念です。



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