もう一人のタイガーエース
タイガー1中期型 オットーカリウス搭乗車 タミヤ 1/35
いくら見えないとはいえ内部も手を抜かずに組み立てたいときは、やはり各部品のテーパーがきついので整形してやるとよいでしょう(Figure.26)。
多くのタミヤ製品では、取り付けの向きや位置が決まっている類似形状の部品はダボ位置をずらして、取り付け時に間違えないような配慮がされています(Figure.27)。
砲塔はこの状態まで組めばOKです(Figure.28)。天板はコーティングしませんが、作業時に持つところを確保するために取り付けました。
また、写真では後で紹介する追加工作のために天板と側面板との接合部を少し彫り込んでいます。この工作をしない場合はその必要はありません。
砲塔後部の接着線は完成後も見えますので消しておきます(Figure.29)。砲塔内部は白色で塗装するよう指示されていますが、ほとんど見えませんので塗らなければいけないということはないでしょう。今回は私も塗っていません。塗装する場合は天板を取り付ける前に済ませておきます。これで、コーティング準備は終了です。
次に砲身を組み立てます。コーティングに関係ないのでこの段階で作る必要はありませんが、ついでに組み立ててしまいます。
今では一体成型しているキットもありますが、主流はこのキットのような左右分割のモナカ合わせ式です。大砲はやはり戦車模型の顔ともいえる部分ですので、この接着線が見えてしまうと興ざめしてしまいます。そこで、きれいな砲身を作るための、私なりのちょっとしたコツをご紹介しましょう。
雑誌などでよく紹介されるのは、接着面に接着剤をたっぷり塗って少し待ち、プラが溶け始めたところで強く貼り合わせる方法です。溶けたプラスチックをわざとハミ出させることで、隙間ができるのを防ぎます(Figure.30)。接着剤が乾燥後にハミ出た部分を削ればよいのでパテを使う必要がなくなります。
ただ、この方法の難点は、ハミ出たプラスチックがジャマで、部品がズレないでキッチリ合わさっているかが分かりにくいことです(私がヘタなだけかもしれませんが)。合わせ目がズレてしまうと、生じた段差は削ったりパテで修正すれば消えますが、砲身の断面はいびつになってしまいます。これを修正して丸い砲身にするには、高い工作力と大変な労力が必要です。つまり、隙間はパテで消せますがズレは修正できないのです。
したがって、貼り合わせる際に最も注意すべきなのは「隙間を作らないこと」ではなく「合わせ目がズレないこと」というのが私の考えです。
まず、砲身の根元側の1点で、ズレないようにしっかり位置決めします。この時点では接着剤はまだ塗っていません(Figure.31)。
この1点を離さないように持つと、砲身の先端側が開いて隙間ができますので、持った部分より少し先側へ流し込み接着剤を流します。すると、手元側と反対側へ接着剤が流れていきます。今、矢印のあたりまで走っていっています(Figure.32)。持つ指を接着線上に置いていると、指と部品の間にも接着剤が流れ込んでヒサンなことになりますので要注意。必ず写真のように持ちましょう。
反対側の接着面にも接着剤を流したら、先へ向かってつまんで合わせていきます。つまんだまま指を滑らせるのではなく、片方の手で位置を決めながら反対の手でちょんちょんと押さえていくとうまくいきます(Figure.33)。
隙間が狭くなるにつれて毛細管現象で接着剤が先のほう(矢印の向き)へどんどん流れていきますので追いかけるように接着していき、接着剤が足らなくなったら前写真同様に流します。
これを繰り返して先端まで接着します。うまくいくとほとんど合わせ目がわからないようになります(Figure.34)。
接着剤が乾燥後、隙間があればパテで埋めておき、その後整形します。