もう一人のタイガーエース
タイガー1中期型 オットーカリウス搭乗車 タミヤ 1/35
砲口を真円にするために、リーマで軽くさらいます(Figure.35)。
こんな感じです(Figure.36)。
以上で砲身は出来上がりです。
最初に述べた、従来の「プラ・ハミ出し工法」でキレイに作れる方もいらっしゃると思いますので、試してみてご自分に合った方法を見つけてください。
ここからは、追加工作のお話です。面倒ですが難しくはないので、興味のある方はチャレンジしてみてください。
このキットはリニューアルされて結構年数が経っているので、車体同様に砲塔もツッコミドコロが結構あります。この制作記事では触れませんが、作り込みたい方は資料を参考にじっくりと取り組んでください。ただ、初・中級者は手に入れた資料で「キットの間違い探し」をしないようにしましょう。これを始めてしまうと、間違いを一つ発見するごとにキットが信用できなくなり、部品1個をつけようとするたびに資料と首っ引きになって制作がまったくはかどらなくなります。それが楽しいという方はよいのですが、そうではなく「資料に作らされてしまう」と、楽しいはずの模型作りがだんだん苦痛になってきます。
「趣味」が「修行」にならないようにするのも模型作りを長く楽しむポイントだと思います。資料に自分を合わせるのではなく、自分のやりたいことに資料を活用するようにしましょう。
閑話休題。ここでは、車体・砲塔ともに省略されている溶接痕がありますので、特に目立つところを再現してみます。
砲塔は天板の外周に沿って側面板との接合部に大きな溶接痕があり、タミヤのタイガー1シリーズはこれがまるっきり省略されています。これを再現しておくと、グッと模型映えするようになります。これを行う際は、天板を接着する前に外周を斜めに少し削っておくとやりやすくなります。先に接着してしまった場合は、接合線に沿ってPカッターで慎重にスジ彫りします。
天板前端の形状ってこれでいいのかと気になって資料を見ると、実車とは微妙に違うようです。そこで、0.5ミリ厚のプラバンを細く切って、前面装甲の前端と面一になるよう接着します(Figure.37)。気にならなければ省略しても構わないでしょう。
これで準備完了です(Figure.38)。
溶接痕は再現せずに上記の工作だけで終了するというのも大いに結構だと思いますよ。
溶接痕の再現には、私はエポキシパテを用います。ほかにも、伸ばしランナーを用いたりヒートペンで加工するといった方法もあります。エポキシパテを使う方法はコントロールしやすく失敗したときにやり直しがきくといったメリットがあります。
エポキシパテは各社から発売されていますが、ここではタミヤの高密度タイプを使います(Figure.39・上)。速硬化タイプに比べ少し硬いので溶接の質感は劣るかもしれませんが、速硬化タイプはタミヤのダークイエロー系の成形色と近似色で見分けがつきにくいという理由でこちらを選びました。
それでは、まずパテを細く糸状に伸ばします。パテをよく練ったら台の上に軽く押しつけて固定し、一方の端を転がしながら引っ張っていきます(Figure.40およびFigure.41)。こんな感じで、太さは適当ですがだいたい0.5ミリほどでよいでしょうか(Figure.42)。
溶接痕を刻むのには、爪楊枝や竹串の先を斜めに切り落として平たく削ったヘラを使います。これで適当な長さのパテをすくって、溶接痕をつける場所へのせます(Figure.43およびFigure.44)。