i-modellers 2号 タイガー1中期型 タミヤ 1/35

もう一人のタイガーエース
  タイガー1中期型 オットーカリウス搭乗車 タミヤ 1/35

≪STEP.4~ツィンメリット・コーティング(車体編)≫

それでは、いよいよツィンメリット・コーティングを施します。
このツィンメリット(ツィメリットなどとも呼びます)・コーティングの工作は第2次大戦モノのドイツ戦車の模型を作る上で避けて通れない工作で、かつてはこれができずに作りたくても作れないキットがたくさんありました。それもパンサー系やタイガー系などドイツ戦車を象徴するような車輌ばかりです。最近では最初から彫刻されたキットが増えましたが、残念ながら部品の合わせ目などにどうしても不自然な部分もでてくるので、やはりモデラー自身で施したいものです。この機会にぜひマスターしてください。

『アーマーモデリング』誌で紹介された、エポキシパテにローラーやスタンプで模様を刻む方法に少しアレンジを加えたやり方で行います。この方法のキモは「いかに薄くパテを延ばすか」ということです。雑誌の記事では、エポキシパテを模型の上で爪楊枝等を使って延ばしています。しかし、エポキシパテは延ばすのに結構力が必要ですので、模型にあまり大きな力を加えるのは心配です。また、単なる平坦な面ならよいですが、複雑なモールドがあるとそれが障害物となって作業しづらくなるでしょう(私はこの方法でやったことがないので分かりませんが)。

そこで、ここでは「先にパテを薄い生地状に延ばしてから貼り付ける」という方法を紹介します。私はこれを「エポ生地法」と呼んでいます。

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使用するのに適したエポキシパテは、「ミリプット・グレードS」です(Figure.52・上)。適度な柔らかさと伸びのよさが、このやり方にはピッタリです。ちなみに、レギュラータイプのミリプット(同・下)は、とても柔らかいのですがコシがなくちぎれてしまうので向いていません。

ただ、この「ミリプット・グレードS」は残念ながら置いていない模型店も多く、誰でも手に入れられるとは限らないようです。そんな商品だけを使った記事では意味がありません。
そこでこの車体編では、どこの模型店でも手に入るタミヤのパテを使ってやってみましょう。使用するのは速硬化タイプです(前出Figure.39・下)。

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作業を始める前に、パテを延ばすための道具を準備します。作業台となる金属製のトレイ、ベビーパウダー、延べ棒です(Figure.53)。トレイは100均ショップで安く手に入りますが、なるべく鉄板の厚そうなものを選びましょう。
延べ棒は、あまり太くなくかつ重さのあるものがやりやすいです。アルミパイプなどは軽すぎてあまり適していません。私は写真右の金属棒を愛用してきましたが、偶然家で見つけたもので、元々これが何だか分かりません。これではミリプットのパテ同様、誰でも同じものを用意できません。そこで、今回は単3の乾電池を使ってみます。形・重さとも近い感じです。表面が金属のもの(ビニールでコーティングされていないもの)がよいでしょう。



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photo_72.jpgphoto_72.jpgphoto_73.jpgphoto_73.jpg続いて、カッターナイフの刃です(Figure.54)。ホルダーは必要ありません。一般的なカッターの刃ではなく、作業用の大きい刃を用意してください。延ばしたパテをすくうのに使います。

型押し用のローラーとスタンプです(Figure.55)。モデルカステン製のものが手に入りやすく、使いやすいと思います。
あと、写真にはありませんが、毛先の短い筆と、台所用洗剤を少し混ぜた水(以下、「石けん水」と呼びます)を塗料皿等に入れて用意しておきます。
photo_74.jpgphoto_74.jpgphoto_75.jpgphoto_75.jpgそれでは作業開始です。
まず、トレイにベビーパウダーをまきます(Figure.56)。パテがトレイに貼り付かないようにするためです。

手始めに車体前面からコーティングしてみましょう。
必要なパテはパチンコ玉くらいで十分です(Figure.57)。一度に切り出す量は3ミリ幅くらいです。タミヤのエポキシパテは板ガム状なので少量を切り出しやすく、ムダがでにくいのが長所です。

photo_76.jpgphoto_76.jpgphoto_77.jpgphoto_77.jpgまずは指で平たくつぶして粉のあるところに載せます(Figure.58)。これから塗布する面の形にある程度合わせてつぶすと、この先がやりやすくなりますよ。パテの上側にも粉をつけ、手で少し押し伸ばします。

次に乾電池を使ってグイーッと延ばします(Figure.59)。乾電池はコロコロと往復させるのではなく、一方向ずつ動かすとよいでしょう。ちなみに、かなり力が必要ですよ。

photo_78.jpgphoto_78.jpgphoto_79.jpgphoto_79.jpg一回延ばしたらカッター刃ですくって90度回し、先ほどと直角方向に延ばします(Figure.60)。刃は、ノコギリのように前後に細かく動かします。こうして、塗布面の形に近づけながらどんどん薄くしていきます。
1回延ばすごとにまめにパテをすくっては回し、トレイから浮かせるのがポイントです。パテは滑りながら延びていくので、パテがトレイに密着すると延びなくなります。


ところで、この「打ち粉」はパテがトレイや延べ棒にくっつくのを防ぐためにしていますが、本来はミリプットパテを使うことを前提とした方法です。今回使っているタミヤのパテは、ミリプットと違って水に溶けません。そこで、ベビーパウダーの代わりに「石けん水」でも代用できます(Figure.61)。ただの水ではすぐにパテがトレイに密着してしまってうまくいきませんので、必ず石けん水を使ってください。
なお、もしミリプットを使う場合はパテの表面に水をつけてはいけません。パテが溶けてヌルヌルになります。




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