ミニスケールのティーガー1
フジミの1/76キットを作る
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そしてドライブラシ、はげチョロ、パステル汚し、ピグメント散布を行い、排気管に焼け色を塗り、最後に車長用ハッチと装填手用ハッチを接着したら、これで完成です。いや～ずいぶん時間がかかってしまいました。
ここで念願の、フジミ1/76ティーガーＩ、三輌のそろい踏みです。図らずも一番淡い塗装から一番濃い塗装まで、並ぶことになりました。もちろん活躍した場所も時期も異なるこの三輌が実際にこのように並ぶことはあり得ないんですが、しかし同じ車輌でも塗装で随分感じが変わる、それを目の前に並べられるのが模型の楽しみの一つかもしれません。
ついでに一番奥に四輌目、十年くらい前に作った旧作を一緒に並べてみました。あのときは何も手を加えず、ただやったのは、ラッカーシンナーを塗りながらエッチング鋸を横に動かしてツィメリットコーティングを施したことだけです。車体左側面の履帯交換用ワイヤーはそのために削ったままで、その後再現していません。今見ればお恥ずかしい出来ですが、あれはあれでとても楽しかったんですね。
さて、思い切って買ってみたら、非常に便利で、それまでとは模型作りが革命的に変わった、という私にとっての三種の神器が、他ならぬ「エアブラシ」「超音波カッター」「ヒートペン」なんですが、今回もその内のエアブラシとヒートペンが大活躍でした。レジンパーツなどは全く使わなかったため今回は超音波カッターの出動はなかったけど、エアブラシがあったからこそティーガーの細かい迷彩をミニスケールで塗装できたわけですし、ヒートペンのおかげでツィメリットコーティングが楽にきれいにできたんですね。さて、これで要領がつかめたので、次はあんまり手間を掛けずに、もうちょっと気楽に楽しむミニスケール作りに挑戦してみようと思います。
i-modellersではミニスケールものを担当しております。一応1/35や航空機もやるのですが、一番好きなのはやはり1/72や1/76のミニスケールAFVですね。このスケールの魅力って、何でしょうか。気軽に数が揃えられること？展示場所を取らないこと？価格が安いこと？… しかしスケールに関係なく、気軽に作る場合と精密に作る場合とはありますよね。ストレートに形にするだけでも模型というのは楽しいもの。一方精密に作ろうと思えば、スケールが小さいだけに大変なところはあります。例えばツィメリットコーティングも、1/35ではいろいろな技法が既に普及していますが、ミニスケールでやろうと思うとなかなか苦労します。展示スペースについては確かにそうかも知れませんね。しかし1/35で既に実績のある人が、スペースを節約するためという理由で1/72を作ったりはしません。価格については、ミニスケールだからって最近決して安くはありませんよ。レベルの88ミリ砲なんか三千円以上しました（正直タミヤの1/35より高い）。それにディテールアップパーツだって決して安くはない。
だから、私がミニスケールを好むことには、特別な理由は無いと思います。子供の頃から好きだったというだけ。私がこのスケールに感じている一番大きい魅力は、圧縮感ですかね。硬いキャタピラが浮き上がっていたりすると、たちまちオモチャっぽくなります。しかし、そうした要所さえきっちりクリアすると、急に圧縮感が出てくるんです。ものすごいディテールアップをしなくとも、手のひらに載せて目に近づけて見ると、大きな戦車が目の前に圧縮されているように感じます。1/35だとディテールにも目が行きますが、ミニスケールだとある程度以上のディテールは無くて普通。むしろ全体形が一目で見渡せる分、スタイルの勝負だというところがあります。スタイルとディテールの釣り合う点が1/35とは異なる、と考えればよいのではないのかな。最近の新製品は、キットのパーツだけでもディテールは十分です。あとは気軽に組んでみるだけで楽しい。みなさんもミニスケールの世界へぜひどうぞ。
