The Historic スクーデリア60年の集成
F60 タミヤ 1/20
制作・写真・文章 根生
モータースポーツの最高峰のF1グランプリ。1950年に始まったこのレース。数多くのチームが参戦し、また消えていきました。しかしその入れ替わりの激しいF1グランプリにおいて、初年度からずっと参戦続けているチームがあります。そうです、深紅の跳ね馬、スクーデリア・フェラーリです。そのフェラーリが2009年にF1参戦60周年を記念して作ったのがこのF60です。
この年からレギュレーションの大幅な変更があり、ごちゃごちゃしたエアロパーツが制限されました。そのためボディ形状は非常にスッキリとしています。実を言うとそれでこのマシンを選んだんですよね。だって、あのごちゃごちゃウイング、どう塗っていいのか・・・
もうひとつの話題はこのマシンからKERS(運動エネルギー回生システム)が搭載されたことです。ハイブリッドカーのようにブレーキング時のエネルギーを発電機で電気に変え充電し、加速時に使うという物です。なんと1周につき6.6秒間ではあるものの、80馬力も出力をアップすることができるのです。でもプラモには関係ないですね(笑)。
さて、そんな記念すべきマシンをタミヤが最新の技術で素晴らしいキットにしてくれました。新時代のF1を新時代のキットで再現します。カーモデルの経験がまだまだ浅い素人同然の私にとって組みやすい最新キットは心強い味方です。価格が高いのはこのさい目をつぶりましょう。
キットの箱の中にはそれはそれは美しいパーツがびっしりと入っています。シャープなモールドやどこまでもなめらかで光り輝くボディのパーツを見ているとへたくそな私が塗装で台無しにするんじゃないかと冷や汗がでてくるほどです。
すばらしいのはプラパーツだけじゃありませんよ。最初からディテールアップ用のエッチングパーツやら針金なんかが入っています。追加で何も買わなくてもちゃんと精密キットが組み上がる寸法です。
さらにこのエッチングパーツを見てください。周りの枠とパーツが最初から離れています。パーツはシールのように台紙に貼り付いているので簡単にはバラバラになりませんが、プラパーツのゲートに相当する部分がないためパーツの成形が必要無いのです。タミヤのエッチングパーツは分厚くしかも素材が堅いステンレスなので切り取るのも大変なのですが、最初から切り取られているのでとても扱いやすいですね。
メッキパーツも素晴らしいできで、ゲートやパーティングラインはできる限り目立たない場所に付けられています。いつもならカーモデルを作るとき、メッキパーツは真っ先にキッチンハイターでメッキを剥がして再塗装するのですが、今回は排気管以外はその必要がなさそうです。排気管はあの複雑な形状からしてタミヤさんも手の打ちようがなかったみたいですね。
これはラジエターのパーツです。このようにゲートは接着面に付けられており、ゲートを整形したあとは完全に隠れてしまいます。そしてそのアンダーゲートが取り付けられている場所もこのように車体に面した側で、組み立て後はほとんど見えなくなってしまいます。こんな工夫はタミヤならではですね。
車体の組み立て
カーモデルは車体の塗装に時間がかかります。サフや基本塗装、クリアコートのたびに表面を磨くわけですが、その前に十分な乾燥時間をおかなければいけないので時間がかかるわけです。ですから、その一番時間のかかる行程を真っ先に手をつけていかないとあとから待ち時間だらけになってしまいます。
車体の主要パーツを切り出し、整形、組み立てをします。ボディのパーツはこの写真を見てもらってもわかるように金型の表面をツルツルに磨いてくれているらしく、最初からテカテカです。でもうっすらとパーティングラインが残っていますから、ここは丁寧にペーパーをかけて磨いておきます。ペーパーは#400、#600、#800、#1000まで使います。番手を飛ばさないことでペーパーの保ちが良くなるそうなので、面倒でもペーパーを細かく切り替えるようにしています。
また車体の裏側は未塗装のカーボンFRPですから、半ツヤの黒であらかじめ塗っておきます。