i-modellers 4号 エル・アラメインへ~ラムケ降下旅団 1942 エジプト

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エル・アラメインへ~ラムケ降下旅団 1942 エジプト
  キューベルワーゲン82型 MM304 タミヤ 1/35

制作・写真・文章 moppu

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はじめに

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今回の特集はタミヤのMMシリーズから車両とフィギュアのセットとなっているキットをサクッと作ってディオラマを楽しもう、というものであります。編集部のレギュレーションは地面を作ること、箱絵、キットのオリジナルを尊重し、改造しない、ディテールアップも最小限で、というものでありまする、難しい考証や資料を用意しなくてもこういうキットならディオラマも楽しめるのでは、という提案でもあります。

タミヤMMはそもそも車両にフィギュアを絡ませて情景を楽しもう、というものであったはず、現在に至るAFVプラモデルの原点といえるでしょうか、個人的にはフィギュアの製作は苦手、前回のフェラーリ特集に続いて苦手な分野に挑戦です、ふーん、という感じでご覧いただけましたら幸いです。

ラムケ降下旅団とエル・アラメイン戦

ラムケ少将のもとに編成された降下猟兵旅団(簡単に言うとパラシュート降下する歩兵部隊です。旅団というのは師団よりも規模の小さい編成で複数の連隊からなっていました)はマルタ攻略作戦の中止後北アフリカへロンメル率いるアフリカ軍団(Deutsche Afrika Korps=D.A.K.)の増援として送られました。旅団が北アフリカへ到着した1942年7月当時D.A.K.は既に6月21日から22日にトブルクを落とし、29日マルサ・マトルーに退却する英軍の残余を掃討し、英軍がエル・アラメインに築いた防衛線に対し7月中は激戦を繰り返していました。
D.A.K.の補給線は遠くトリポリやベンガジから数千キロという単位で伸び、エル・アラメインを抜く打撃力は残っていませんでしたし、さらなる補給はイタリアから北アフリカへの道中に多くがマルタ島を基地とする英軍によって地中海に沈んでいました。
対する英軍は新たに第8軍司令官となったモントゴメリーの登場、喜望峰を超えてスエズへ運ばれる補給に支えられやがて連合軍の代名詞となる物量戦を本格化する、その過渡期にありました。
8月30日ロンメル最後の攻勢となったエル・アラメインへの攻撃ではラムケ降下旅団は海岸に近い防衛線でイタリア軍部隊とともに敵をひきつける牽制をなしましたが、主攻勢であった南翼のD.A.K.主力の攻撃はとん挫、エル・アラメイン攻略は失敗に終わりました。
モントゴメリーの戦略は非常に簡単にいえば物量で敵を圧するものでありました、それは電撃戦に象徴される機動戦とは性格の異なるもので、慎重であるということもできますし、それ故にエル・アラメイン戦後ロンメルのチュニジアへの後退を許すことになったという見方もできるでしょうか、のちのヨーロッパ戦線においてもアルデンヌ戦においてもモントゴメリーの慎重な戦い方は英米軍の間ですら物議をかもすことになります。
ドイツアフリカ軍団の補給切れ、モントゴメリーの戦略、双方の事情によって42年秋の間エル・アラメイン戦線は膠着しますが、英軍は勝る補給と制空権を確保することによって次第に圧力を高め、(この間9月にはロンメルは病気療養のため本国へ帰国していました)10月23日夜いよいよ英軍の大攻勢が始まり、ドイツ・イタリア軍の防衛線が突破されました、ロンメルは急ぎ北アフリカへ呼び戻されましたが彼我の戦力差はおおうべくもなく、ついにロンメルは退却を決意することになります。

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11月5日北アフリカのドイツ軍(の残余というべきですね)が西へ退却を始めたとき「足」を持たない歩兵部隊を中心とする非機械化部隊は取り残されましたが、その中にラムケ降下旅団もありました(降下猟兵はもともと機械化部隊ではありません、敵地やその背後へパラシュート降下する部隊には車両は装備がないのですネ、第2次世界大戦当時空輸できる車両は限られていましたし、車両の空中投下は実現していませんでした)。
旅団の残余は600名ほど、彼らは後退のさなかに英軍の輜重隊を襲い車両を分捕り、まるまる1個機甲大隊分の補給物資を獲得した上そのまま味方の後退線にたどり着いたのでした、その距離追撃する英軍の間をぬって350kmといわれています。
一時はロンメルでさえその救出をあきらめたとされた旅団は実に奇跡のように味方の部隊に復帰したのでした、それも多くの貴重な補給物資を手品のように抱えて。
エル・アラメイン戦はスターリングラードの戦いと並んでドイツ軍の転回点となった戦いでした、その一翼にあって稀有なエピソードを残した旅団の雄姿にしばし思いを馳せてみたいと思います。

タミヤのキットは実際にラムケ降下旅団において使われていたキューベルワーゲンに降下猟兵のフィギュアを組み合わせたもので、降下猟兵独特の形状のヘルメットや軍服にアフリカ戦線らしい半ズボンや制帽の下に手ぬぐいかなにかを挟んだ姿の下士官など雰囲気のあるセットとなっています。
前方を指し示し部隊の展開か配置を検討しているのか、10月24日の朝を迎えて前線を突破した敵情を説明しているかのようなポーズの兵士、舞台はエル・アラメイン戦線前面、戦いに備える緊張感のある一瞬、とそんなふうに解釈して、製作してみたいと思います。

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キューベルワーゲンはバルーンタイヤを履いた砂漠用のキットがセットになっています。(写真左)

降下猟兵のフィギュアのランナー、ランナーにパーツの番号がなく、プラの材質も成形色もキューベルワーゲンのパーツとは異なっています、東欧製なのでしょうね、タミヤオリジナルのフィギュアではなさそうですが、モールドはよく、柔らかめのプラの材質も工作には適しています。(写真中)

もう一枠付属するランナーは歩兵用の装備品。(写真右)

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