暁空の翼~真珠湾上空を制圧せよ!
三菱 A6M2b 零式艦上戦闘機 21型 ハセガワ 1/72
制作・写真・文章 森静四郎
太平洋戦争時の日本海軍の主力戦闘機、零式艦上戦闘機。通称零戦。世界的に見ても優秀な機体で、太平洋戦争初期には無敵とも言える強さを発揮し、真珠湾攻撃でも赫々たる戦果をあげました。今年は真珠湾攻撃から70周年となります。そこで今回は、ハセガワから発売された1/72零戦2機セットの”真珠湾コンボ”を作製します。
ハセガワの1/72零戦キットは、コクピット内装やエンジンの再現度等に少々あっさりたものが感じられますが、形状等には問題はなさそうです。零戦フリークからすると、あそこが違うここが違う、という部分もあるようですが・・・。しかし、パーツ数も少なく、これからレシプロ機モデルを作りたいという初心者の方にはうってつけのキットだと思います。
作製機体は、赤城搭載機、および、名作映画「トラ・トラ・トラ!」に登場した無塗装の銀色の零戦を作製します。
「トラ・トラ・トラ!」では、三橋達也演じる源田中佐が、工場からの直送と思われる銀の零戦で空母赤城の甲板に着艦し、居並ぶ一同に最新鋭機である21型をお披露目します。無塗装の機体というのは映画オリジナルのもので実際には存在していなかったようですが、「銀色の零戦カッコいい!」と映画のワンシーンが脳裏に焼きついてしまったものはしかたがありません。モデラーとしてはプラモデルで再現したくなるのが人情というものでしょう。映画で使われている零戦はノースアメリカンT-6テキサンを改造したもので、真に「トラ・トラ・トラ!」の機体を再現するならテキサンを改造しなくてはならないところですが、そこはそれ、「無塗装の零戦が実在していたら」という”if機”として作製したいと思います。
赤城搭載機は飛行状態で、銀ゼロは駐機状態で作製します。
制作編
[1] 実機では、軽量化のために、コクピット各部には穴が開けられていたそうです。座席、後部壁にピンバイスで穴を開けました。キットにはモールド等はありませんでしたので、資料を見ながらではありますが、目見当で開けました。ドリルは0.5、0.8、1.0mmを使用しています。壁はもうちょっと多めに開けられていたようですが、私の技量ではこれが限界の個数でした。
[2] 組み立てたところです。近年の1/72キットと比べてしまうとあっさりした印象ですが、まぁ、ちょっと昔のキットでしたら標準的なディティールだと思います。
[3] 塗装をしてウォッシング、そしてデカールを貼りました。塗装はMr.カラーのコクピット色(三菱系)、ウォッシングはタミヤスミ入れ塗料(ブラウン)で手軽く済ませました。細部の塗りわけには水性ホビーカラーのタイヤブラックを使っています。
[4] 2セットの内の1機は飛行状態で作製しますので、脚納庫ハッチを接着しました。けっこうすり合わせが面倒だったりしました。すり合わせのミスで出来てしまった隙間は、タミヤポリエステルパテを使って埋めました。埋めた後は、エッチングノコを使って、合わせ目にそってスジ彫りを入れておきました。
[5] 尾輪も収納状態にします。尾輪はボディーパーツと一体成型でしたので、これを切り離し、半分くらいに切断して接着しました。支柱カバー(?)がうまく半分に分割できませんでしたので、プラ板を貼ってあります。
[6] コクピット前方の縦長のふくらみは、合わせ目を消す時に削り取ってしまいました。ので、ポリパテで修正しておきました。消えてしまったスジ彫りは、エッチングノコで入れなおしてあります。
[7] コクピットを胴体に接着しました。ここの接着が甘いと、主翼取り付け後に外れてしまい、泣く泣く主翼を引き剥がすハメに陥ってしまいます(経験アリ・・・)。ですので、ゼリー状瞬間接着剤でもってガッチリと固めておきました。